日常に当たり前に「ある」防災へ ~仙台市立将監小学校~

仙台市泉区にある「将監小学校」は仙台市の中でも開校したのが昭和46年と新しく、今、まさに地域とともに歴史を積み重ねている学校です。とはいえ、小学校の名称の由来となった「将監(しょうげん)」には江戸時代からの歴史が詰まっています。今回の段ボールジオラマでは、この地域の変化と歴史が垣間見え、地域の歴史が防災の視点に繋がる防災教室となりました!

将監小学校は「将監団地」の造成に伴って開校されました。団地という特性から、学区は約2km四方の範囲のとても狭いエリアに住宅が密集している地域です。そのため、今回の段ボールジオラマは、両隣の学区も入るジオラマとなりました。

谷のように見えるのは、日本一長い!国道4号線です。旧街道(奥州街道)として発達した国道沿いには七北田川の支流が流れ、川が山地を削った形跡が見られる地形となっています。その国道4号線を見下ろす高台に住む子どもたちは、自分たちの住む地域の地盤が平らであることを「自然」と受け取っていた様。

(学校の正門から国道4号線方面を見る。奥に見える丘は国道4号線の向こう側の住宅団地)

そして身近な自然として見ていた「将監沼」も、実は山の棚田に水を運ぶために作られた治水のための「人造湖」です。江戸時代、仙台藩の重臣だった横澤将監吉久が築造した将監沼周辺は、宅地造成に伴って風致公園として整備されましたが、沼は築造されたままの形を留めています。
この沼の名前が由来となり、団地や学校の名前にも将監が使われるようになったこの地域、実はこの「平ら」は人の造成の力で作り出されたものでした。

昭和3年頃の航空写真を見ると、将監沼のすぐそばにある小学校周辺は山であったことがわかります。
(実は学区の南側には不明瞭な断層のずれが見られると推定される場所も…)
“自然の働き”と“人の英知”で作られた将監小学校を取り巻く地域。さて、どんなジオラマになるのか、子どもたちも興味津々。前のめりで組み上げていきます!

4分割にした段ボールジオラマを組み上げた後はみんなで地形を観察しました。元々、山だった部分は削られて、谷の部分が埋められていること、谷が広がった地形はまだ坂道として残っていること、沼は意外と大きい!など、それぞれの気づきの時間です。

団地ならではの難しさは、自宅を探すこと!かもしれません。ジオラマの周りだけではなくて、モニターの周りにも「学校出てー、ここ曲がってー」と人だかりができました。

ジオラマを組み上げた後は、いつもちょうど休憩時間となります。子どもたちは水分補給をしたりお手洗いに行ったりしますが、ジオラマの周りには人が絶えることはありません!すごい吸引力!

休み時間もじっくりとジオラマを観察した子どもたちは、自分の家を見つけながら、目で見る地図の情報に重ねて、普段の生活で見ている風景を頭に思い浮かべ、段ボールジオラマの中に自分たちの町の感覚を広げていきます。
暮らしの広がり方は、子どもたちによって範囲の広さも経験も多様。
災害時の危険な場所を見つけるワークでは、生活の中で感じた様々な視点・違和感が共有されます。

「いつもお父さんと散歩して通る場所だけど、ここに池なんてないよ?」
と気づいたひとりのお子さん。話を聞くと、葦のようなものが群生してる様子。もしかしたら雨が少ないことと、町の中の水路が機能しているので貯める機能が活用されていないのかも?誰が管理しているのかな?なんて想像しながらお話していると「ここの手すり壊れていたから、直して欲しいな…。もし大雨とか、水が貯まる場所なら。」と、主体的な安全の芽(目)が芽生えた瞬間です!
防災の芽は、日常の快適と災害時の安全を両立・共存するフェイズフリーの気づきです。ジオラマの効果はこんなところでも感じられるので、段ボールジオラマを寄贈する学校の先生方には、コミュニティースクールや学校運営協議会でも段ボールジオラマの存在を知ってもらって、他の学年・教科や地域学習でも活かしてくださいね!とお話しています。

危険を感じる印、将監沼にもたくさん貼られていました! 緑を感じる憩いの水辺も、災害が起きるとどうなるのか?を想像し、沼より高台にある自分たちの暮らしではなく、低い場所に住んでいる人や、学区を超えた自分の生活圏の危険も見つけられる姿も見られました。

理科の学習で学んだ「水は高いところから低いところに」という学びを活かして子どもたちが想像した通り、仙台市のため池ハザードマップも作られており、普段の学習も防災の学習に活かせることが実感できたのではないかと思います。

人工の造成地だからこそ大雨時など、川がそばに無くても起きる都市型の内水氾濫や、元々の地形に起因する土砂災害や地震の揺れやすさなどを確認しながら、どう自分たちの暮らしを守るのか?想像する時間にもなりました。

そしてなんと将監小学校には、段ボールジオラマの生みの親「今野梱包株式会社」さんが東日本大震災時に支援した段ボール家具が現役で使われていました!
東日本大震災から間もなく15年。あの時小学生だった子どもたちはほとんどが社会に出ている年齢になっています。あの時学校で使った段ボール家具と今、段ボールジオラマで動き出す防災教育。もしかしたら、今後、どちらの段ボール製品も心に残っている先生に、この段ボールジオラマの防災教室で出会えるかもしれませんね。
この段ボール家具のように、段ボールジオラマで学んだ防災が、日常に当たり前に「ある」という子どもたちが増えますように。