150年の歴史と地形から辿る防災 ~仙台市立原町小学校~

今回防災ジオラマの授業を実施したのは、仙台駅の東側に位置する原町小学校(はらのまちしょうがっこう)です。仙台市内中心部の宮城県庁付近を起点に三陸沿岸部に向かう国道45号線。原町小学校の学区はこの国道に沿うように細長く広がる学区です。そのため、今回のジオラマは横に長い変形型です!
この形になった理由にも、この地形とそれにまつわるハザードが関わっています。

学区の北部には段丘が広がり、段丘を深く削り梅田川が流れます。流れる先は東に広がる仙台平野。
原町がある宮城野区の地名の由来ともなった「宮城野」は、古今和歌集に詠まれた「歌枕」としても知られていますが、ジオラマの南西にある榴ヶ岡周辺の段丘の縁から海岸まで広がる、萩が咲き誇る原野を指していたそうです。
(ちょうど現在、楽天モバイルパーク宮城があるあたり!ジオラマにも競技場が見えます!)
実は学生の頃住んでいた街ということもあり、子どもたちと同じくらいワクワク懐かしく授業がスタートしました!

ワクワクといえば、授業中にも高架を走る沢山の新幹線が!
新幹線も気になるところですが…校舎3階の教室からは学区の縁を走る東北新幹線の高架や東北本線の車両基地も見え、住宅街が広がる地域ということがわかります。一方、南側の国道沿いには高層ビルやマンションが立ち並びます。この合間、小学校の直ぐそばにある旧道沿いにあるのが原町商店街です。

今回の授業でも150年を超えた小学校の歴史がわかる古地図を紐解くと、旧街道沿いにある原町商店街が昔から町場であったことに気づく子ども達。
また、国土地理院の航空写真でも町の様子を観察すると、スタジアム周辺が広大な原野を利用した練兵場や飛行場であったことがわかりました。そして、防災授業の肝にもなる、梅田川の流れ(川の形)が変わっていない!と気づいた子ども達も!
今を生きる自分の記憶にある地形(通学路や暮らしの中で感じる高低差など)を思い出しながら確認した「標高」と、地球と人が紡いだ歴史が交わると、地域に想定される災害も見えやすくなってきます。

考える時間も大切ですが、体験することで楽しく学べるのも段ボールジオラマの防災授業の良さ。
組み上げが始まると協力しながら丁寧に段ボールを重ねていきます。

細かいパーツはどこのパーツだろう?そんなパズルのようなワクワクも醍醐味!

今回のジオラマは一枚の厚みが標高5m。段が重なると梅田川が住んでいる地面より深いところを流れていることがわかります。

梅田川下流から学区を見ると下流がとても標高が低いこともわかります。今回のジオラマの一番低い場所は梅田川下流で、標高1mです。この標高の低さがハザードマップに繋がっていることを気づけるでしょうか?

子ども達がまず気づいたのはジオラマで見つけた川の深さと、理科で習った川の働きの関係。
雨が沢山降ったら川に沢山の水が流れるかもしれない。川には「浸食・運搬・堆積」の作用がある。
2つの知識が揃ったとき、ここに危険がありそう。そんな想定をした子ども達。

仙台市のハザードマップを見ると、浸水の被害は想定されない場所でも、住宅街に河岸浸食による避難行動が想定される場所があるということがわかりました。

そして、ここ梅田川下流に危険を想定した人も!

梅田川には津波の遡上によるハザードが想定されています。

東日本大震災から15年
震災を経験していない子ども達は映像や資料でしか津波を知りません。地震が起きたらどう行動しなければならないのか、目の前にある危機だけではなく、津波・長周期地震動・物流…遠くから、いのちと暮らしに影響を与える被害もあることを、もう一度確認してみましょう。
そして地震は海溝型の大地震だけではありません。直下型の地震の特徴「活断層とは繰り返し活動し、将来も活動して地震を引き起こす可能性がある」ということも改めて確認しましょう。段丘の形成には活断層の働きも関わっているかもしれません。

学校の裏にあった5m近い段差は、断層の働きでできたことを、改めて確認する子ども達。
(実は雨の災害のことを考えた時にも、この断層の近くにある公園が“低い”から危ないのではないか?と気が付いている様子もありました!)
日頃の経験と、学校での学びから防災・減災の気づきが生まれ、自分のいのちや家族のいのち、そして暮らしを守るためのハザードマップをお守りに身につけた子ども達。
皆さんも自分が住んでいる土地の成り立ちから、どんなことが起きた土地なのかを想像して、防災・減災に取り組んでみてはいかがでしょうか。