地形とまちの成り立ちに目を向ける防災学習 〜仙台市立燕沢小学校〜

仙台市立燕沢小学校の周辺は、住宅地の中に道路や線路などのインフラが通り、少し離れると水辺や低い土地がひらけるなど、いくつかの性格の違う場所が近い距離で並ぶ地域です。
同じ「燕沢」という範囲の中でも、地形の条件や土地の使われ方が場所によって変わることが、ジオラマづくりを通して見えやすいエリアでもあります。

今回は、こうした地域の特徴を題材に、5年生64名が段ボールジオラマを用いて、自分たちのまちの姿を立体的に見つめ、防災の視点で学びを深めていきました。

まちの形を組み立てながら気づく

授業の前半では、地図をもとにジオラマづくりに取り組みました。
段ボールのパーツを重ねていく中で、子どもたちからは、「同じ住宅地でも、こっちは段がついてる(高さが変わる)感じがする」「通学路でも、〇〇くんのお家の方に向かうと、山から川に向かっているかも」といったように、高い・低いを言い当てるだけではなく、地形のつながりや動きを想像する声も聞かれました。

ジオラマが形になってくると、生活の感覚と重ね合わせたつぶやきも増えていきます。
地図の情報をただ読むだけでなく、立体の模型を前にすることで、「自分のまち」を具体の景色として捉え直している様子が印象的でした。

ワークを通じて見えてきた危険の考え方


ジオラマが完成すると、まずは自分の家の位置に旗を立て、まちの中で自分がどこにいるのかを確かめました。
「ここ、坂の下に出る道だから、雨のときは気になる」
など、場所の特徴を防災の問いに変換して話す姿が見られました。

次に、完成したジオラマを観察しながら、危険だと思う場所に別の旗を立てていくワークに進みます。
ここでは、大きく二つの視点が出てきました。
● 斜面や段差のある側に注目し、「崖に近い」「土砂が動きそう」「道がふさがりそう」と考える視点
● 低い側・平らな側に注目し、「水が集まりそう」「たまりやすそう」「引きにくそう」と考える視点
ただ「危なそう」を挙げるのではなく、なぜそう思うのかを、ジオラマの形を指しながら説明する場面が増えていきました。
また、過去の大雨の記憶を手がかりに、「前にこの辺、水が残ってたのを見たことがある」といった経験から危険を考える児童もおり、地形の学びが一人ひとりの暮らしの記憶と結びついていく様子も見受けられました。

学びから意識の芽生え、行動に

授業の後半は、災害について、どのようなものがあるかについて、もう一度その特徴を考えたり、災害の種類によってどのような行動を取ればいいかなどについて学びました。

また、学びの途中では子どもたちから東日本大震災についての質問が出ました。「津波はどれくらい怖いの?」「そのとき、どうしたの?」「どんな気持ちだった?」 次々と手が挙がり、質問が途切れない時間になりました。
その問いに応える形で、講師自身の被災経験について簡単に話すと、教室の空気が変わり、子どもたちは真剣に耳を傾けてくれました。災害をただ知識として知るのではなく、「自分の暮らしに起こりうること」として受け止めようとしていることが、表情や反応からひしひしと伝わってきました。
中には、「家に帰ったら、家族と避難のルールを話し合いたい」と話す児童も何人かいました。
ジオラマでまちの形を捉え、危険を考えた学びが、最後に「自分と家族を守る」具体の意識へとつながり始めた瞬間でした。この芽が家庭の会話と備えを動かし、子どもたち自身が家族の命を守る起点になってくれることを願っています。