地域にひろげる安心の渦 ~ジオラマ@鳴門西小学校

2月24日(金)、今年度の締めくくりとなるジオラマ授業が徳島県の鳴門市で行われました。
鳴門といえば渦潮、あの鳴門海峡に面した大毛島にある鳴門西小学校が今回の舞台です。

まずはその土地を知ることから

前入りした私たちを熱く迎えてくださったのは、地元で子育て支援などの活動をされている「なるとにしてとてとて」の皆さん。
朝から夜まで丸一日、地元の名所の数々、おいしいもの、そして学校周辺のまち並みや避難場所の高台の散策など、このあたりがどんな場所で、住民の方々がどんな風にくらしているのかがじんわりと沁み込んでくる、とても素敵なツアーを組んでくださいました。
やはりこういう体験をしていると、授業の時にも実感を持って話すことができます。

こっちがダメなら、どこに逃げる?

今回の授業は午前と午後の2回、4年生の2クラス。特別講師として高知大学の大槻先生、強力サポーターとして「なるとにしてとてとて」の皆さんにもご一緒いただきました。
いつものようにクイズから始まり、ジオラマを組み立てていきます(組み立ての様子はこちらの動画もご覧ください)。

日頃住んでいる場所であっても、大人でもその高低差はなかなかわからないもの。組み上がったジオラマを見ながら「海の高さと変わらないね」とか、「ここってこんなに高かったの?」といった言葉が飛び交います。
(学校周辺は平地の中に突如筋状の山が連なる独特の地形なのですが、これが干拓によって生まれたこと、この辺りは昔は海だったんだということを伝えられなかったことは痛恨の極み・・・)

自分の家と好きな場所(よく行くところやお気に入りスポットなど)に1枚ずつ付箋を貼っていくと、クラスメイトのほとんどが低い土地に住んでいることや、みんなの好きな場所が公園や近くのクレープ屋さんだったりすることがわかりました。

そこでクエスチョン。「じゃあこのジオラマで、災害の危険がありそうな場所はどこだろう?」 みんな思い思いに、さらに付箋を貼っていきます。今回から導入されたスマホカメラがドローンさながらに、それらのスポットをモニターに映し出します。

「海に近いから津波が来たら危ない」、「斜面が急だからがけ崩れが起きそうだし海にも近い」、「このへんは古い家が多いから壊れそう」など、日頃目にしている情報も取り入れながら、いろんな意見が出てきました。

その上から、ハザードマップが印刷されたクリアシートをジオラマにかぶせて、津波や高潮の避難場所に旗を立てたら、大槻先生のお話が始まります。

手元に配られた避難時の注意点などの資料を見る目も真剣。「クレープ屋さんにいて、津波が来そうなときはどこに逃げる?」「こっちが難しそうだったらどうする?」といった先生のやさしい問いかけに対して、避難場所の旗を指さしたりしながら、児童のみんなも自分の言葉でしっかりと考えを説明してくれました。

今回の授業が自分たちの住む地域について、さらにたくさん興味を持つきっかけになってくれたらうれしいですね。

翌々日、地域のイベントにてさっそく展示

そして我々が帰ったあと・・・ここからがこの地区のスゴいところです。
翌々日の日曜に行われた地域のイベントですぐにジオラマを展示。ものすごい実行力とあらゆる手段を駆使して来場を呼びかけるそのネットワーク力は、災害時にもそのまま発揮されること間違いありません。
授業の様子の写真なども楽しい雰囲気で貼り出していただき、老若男女たくさんの方々がジオラマを前に言葉を交わされ、授業を受けた子供たちがお家の方を連れて来て説明してくれていたり、なんとプライベートで市長さんまで・・
そしてそして、明日3日にはおとなりの鳴門東小学校で、次年度には中学校でも「なるとにしてとてとて」の皆さんによるジオラマ授業が行われることになるなど、とんでもないスピードで渦が巻かれています。

今回訪れた鳴門はくしくも四国八十八カ所の一番札所のあるところ。
ここからなにかが始まる予感・・・

◎授業の様子はNHKニュースでも紹介されました。ぜひご覧ください。