新潟県栃尾 山の暮らし

昨年12月と今年1月、新潟県長岡市の栃尾地区の公民館に、ジオラマを組み立てる大人たちの姿がありました。
大きな油揚げ、へぎ蕎麦、清酒景虎などでその名を知られる栃尾ですが、繊維産業の衰退や中越地震の影響などにより、人口減少と高齢化の課題を抱える中山間地域でもあります。
財団法人やまのくらし再生機構さんとのご縁から、同法人が主催する現地での連続講座の中で活用いただき、第1回目では組み立てたジオラマを囲みながら「参加者に地域の様々な情報を聞き取り、主要な地名、山や峠の名前と標高などを付箋に書いて貼り付けていった。住民からは昔の思い出話を聴くことができ、また、採取可能な山菜や薬草の名前も書き出した」とのことです。
その後1月に隣の地区での2回目を経て、先日3月4日に両地区のジオラマを合体、あらためて参加者みんなで今後の活用方法を考えながら、見所など新たな情報も付け加えていきました。2m四方のジオラマが2地区連なった様は壮観で、複雑に入り組んだ谷地形や、その中にある集落の山とともにある暮らしを実感することができました。
今後は様々な地域資源をマッピングするなどしつつ、地域づくりに役立てていきたいとのこと。夏頃にまたゆっくり来たいなあ。

<以下は12月の講座時の運営関係者の方々からいただいた段ボールジオラマへのコメントです>
●立体的かつ実際に触ることができるため、山と集落の高低差や位置関係が分かりやすい。完成後、日頃から生活している自分自身の集落を立体的な段ボールジオラマで視覚的に体験できたことは、参加者にとって大きな意味があったと感じる。
●ジオラマ作成前は控えめだった地域の人たちが、作成の過程で徐々に形作られていく半蔵金の姿を見るにつれて、地域内の様子を自分から話し始めた様子は圧巻だった。彼らの中で、ジオラマと生活空間は完全に一致しており、頭のなかではジオラマのある地点に立った時の景色が見えているのだろう。
●講座においては、ジオラマを使ったことによって参加した住民から今の話や昔の話などが絶えず、効果的であると実感した。ジオラマはしばらくの間、地区センター内に設置しておくこととなっているため、住民が集まる機会の際など春先に向けて山菜等の情報も集めていきたい。
●ジオラマ製作後、それを前に参加者のみなさんから多くの意見が出たのは印象的。地域資源の情報収集に非常に有効な手段だと感じた。